首都ポートビラの人口は4万人。日本の小地方都市に相当し、市場規模は小さい。しかも首都圏に集中する外国人(オーストラリア・フランス系、中国系等。統計を見たことがないが、数千人?)向けの食材と、バヌアツ人向け伝統食材の2系列がどうしても必要となる。

現地人向けの食材は、中央公設市場がその殆どを賄う。農産物は、エファテ島内の各地から、産地のオバサン達と共に小型トラックに満載されて市場にやってくる。ここで1週間400円の場所代を払い、文字通り「産地直売」する。オバサン達には市場の床にごろ寝して数日を過ごす人もいる。イモ類や椰子の実、料理用バナナなどの伝統的食材は気の毒なくらい安いが、外来種の野菜類には高いものもある(ピーマン1個40円など)。我々には何か見当のつかない食材も多いが、果物類は熟して美味いものが安く買えるので、利用することが多い。

外国人向け食材は市内に4軒あるスーパーが頼りだが、缶詰や乾燥食品が主体である。生鮮食品類はオーストラリア、ニュージーランドからコンテナ船が入るのを待つ他なく、値段が高く品質も日本に比べて劣るのは仕方がない。一番乏しいのが鮮魚類で、たまに刺身になりそうなものが入荷しても、レストランや専業主婦に買い占められ、我々のような兼業主夫の手に入ることはまずない。牛肉はバヌアツ牛が安いが、野草しか食べさせないので、当方の顎の筋肉も大いに鍛えられる。

酒類は、地元産ビール小瓶が200円等、すこぶる高く、スコッチなどは30年前の日本並みである。現地人はアルコール類を殆ど飲まないようだ。彼等の伝統的飲み物は、Kava(カバ)と呼ばれる胡椒科の植物の根を砕いて水に抽出したもので、精神安定作用があり、アルコール同様の酔い方をする。伝統的な飲み方は、一見泥水風の液体を椰子の実の殻に入れて一気飲みし、口腔が痺れるので、直ちに水で口をすすいだりうがいをして吐き出す。従って露天でやるしかない。カババーで量り売りしたものを持ち帰ることも可能だが、一人で飲む気にはならない(少なくとも小生は)。

公設市場には近在の村から持ち込まれた様々は食材が並ぶ。「Aelan Kakae」(島の食品)と呼ばれるイモ類やバナナ等の伝統的な食材が主体。蒸し焼き用の葉っぱ類も並ぶ。
野菜類は一山100円が一般的で、芋類の大籠は500円、ココナツは1個20円~。 市場での魚類の商いは少なし、我々はちょっと手を出す気にならない。
小生のある日の市場での買い物。パン、バナナ、パパイヤ、大根は夫々100円、パイナップルは150円だった。 公設市場近くのスーパー。品揃えはイマイチで値段も高いが、小生の命綱。
中国系の食品店。このような店がたくさんある。 営業時間が長く、日本のコンビニのような存在。 パンの工場直売店。ここのフランスパンが一番美味しいと言われている。 1本50円。
町で随一と言われる魚屋だが、ご覧のように「品切れ」の場合が多い。 開店準備中のKava Bar。日本の居酒屋に相当し、仕事帰りに仲間で立ち寄って飲む。飲み方に特徴があり、必ず屋外の屋台風店舗。