
里から目立って見える山の頂には、殆ど例外なく祠が立っている。立派な社殿から神棚程度のものまで規模は様々だが、激しい風雨にさらされながらも、朽ち果てたものを見たことがない。今も世話を欠かさない人達がいるのである。無信心の小生も、山上の社では僅かなお賽銭をあげて頭を垂れる。山行の安全を願うだけで、べつにご利益を願ったり、人倫の道を悟ろうというわけではない。
西欧流に言えば、山岳信仰はアミニズムの一種で、原始宗教の尾を引くものだろう。だが、日々の暮らしが自然と強く結びついている人たちにとって、山は水や食糧をもたらし農作業の時期を教えてくれる、優しくて親切な 「かみさま」 なのだ。全宇宙を支配する唯一絶対の「神」しか認めない人たちには、こういう穏やかな信仰の心境は、理解できないと思う。
深田久弥は百名山の条件に、「人々が朝夕仰いで敬い、その頂に祠をまつるような山」を挙げた。これは実に味わい深い考えではないだろうか。
今や人類存亡の課題となった「ECO」はもっぱら経済的視点で論じられるが、人間と自然の調和という考えの根底に、穏やかな自然信仰が欠かせないような気がする。東北の百名山歩きを思い起こしながら、そんなことを考えた。
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岩木山、八甲田から | 岩木山、南麓から | 岩木山頂から山腹の錦繍 | 酸ケ湯から八甲田 | 酸ケ湯の湯治棟 | 蔦温泉 | ||
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春の八甲田 (雪上訓練) | 八甲田、毛無岱の紅葉 | 八甲田山頂から青森市 | 八幡平山頂の標識 | 八幡平の山腹から |
早池峰は、高山植物の宝庫として知られる。蛇紋岩の山塊は風化せず普通の植生は育ち難い。元気なのは乏しい養分と厳しい自然条件に耐えられる高山植物だけである。一見ひ弱そうに見えるが、なかなかのしたたか者らしい。標高を上げるにつれて高山植物の種類が変わるのが、この山では良く観察できる。
そういう山だから、山頂トイレの排泄物はボランテイアが石油缶に汲み、担いで下ろす。最近は吸収式の容器を各自で持ち帰る運動が進んでいると聞く。山に登る者として、その程度のことは覚悟するべきだろう。
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岩手山、北麓から | 岩手山頂の火口壁 | 岩手山頂 | ウスユキソウ | 下山道で出会った野草(高山植物でない花もある) | |||
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早池峰山頂、コバオケイソウ | 8合目のミヤマシオガマ | 7合目のノビネチドリ | 6合目のハヤチネウスユキソウ | 5合目のミヤマアズマギク | 4合目のミヤマオダマキ | 3合目のミヤマシャクナゲ | 2合目のギンリョウソウ |
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酒田市から鳥海山 | 8合目の雪渓 | 8月、雪が解けたばかりの斜面を花が飾る | 9合目から南斜面 | 火口壁を下る | 火口丘に神社と宿舎 | 鳥海山頂 | |
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月山、南麓の高速休憩所から | なだらかな北側の斜面、遠くに鳥海山の裾野 | 東側の斜面にも池塘 | 9合目の池の傍で | 山頂を見上げる | 西側は浸食谷でやや急斜面 | 月山山頂から南を望む |
この山の正しい登り方は、南北に長く連なる連峰を縦走し、豪雪に耐えて咲く花々を愛でながら、山に宿る神々と語り合うことだろう。だが、食糧と寝袋を背負って歩き通せない「百名山組」は、飯豊本山への最短距離を忙しく往復する。それでも、1泊2日をフルに要する。
行程が長い上に坂がキツイ。飯豊詣りは江戸期からの成人儀礼だから、キツイのは当然である。飯豊連峰の最高点は2128mの大日岳だが、ここを訪れるにはプラス1泊を要する。飯豊本山でOKとしたのは、中高年登山者への温情かもしれない。
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小朝日から大朝日岳を望む | 大朝日山頂から北の縦走路 | 西吾妻から見た飯豊連峰 | 飯豊山、ようやく稜線に出た | 日光きすげの群生 | ひめさゆり | 最高点の大日岳を遠望 | 山頂直下の飯豊山神社 |
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蔵王の「お釜」。熊野岳の山頂直下から | 蔵王の地蔵岳 | 冬の磐梯山(裏磐梯から) | 裏磐梯登山口の銅沼 | 磐梯山頂から桧原湖 | 西吾妻山頂下の湿原 | 安達太良山頂 |