エファテ島には環状道路(Ring Road)と呼ばれる道路があります(しかありません)。これは太平洋戦争時に米軍が作った軍用道路を改修したものと言われ、1周140kmあります。これを1チーム10人の走者で競う駅伝競技が、バヌアツの7月の恒例行事になっていますが、今年は独立25周年記念日の7月30日に合わせて実施されました。参加31チームには地元の学校、職場や愛好者の団体に加えて、在住の外国人グループや近隣の国からの参加もあり、JICAの協力隊員も男女混合チームで毎年参加しています。小生はJICAチームの補給車(一部区間では公式伴走車)の荷台に便乗し、500mm超望遠で走者の姿を追いました。

海岸線に沿った道路には車でも難儀するようなアップダウンが続き、1人平均14kmの踏破はなかなか厳しいものがあります。特に日頃長距離を歩くこともない日本からの新人隊員達にとって、本レース参加はバヌアツ勤務への一種の通過儀礼のようものでもあり、つい先週着任したばかりの5人の新人達も早速メンバーに組み入れられました。しかし、さすがに海外青年協力隊を志願した若者だけあり、好天に恵まれ(?)日中は気温が32度を越したものの、全員が元気に持ち場を完走しました。(本ページで日本の若者達の走りぶりをご紹介できないのが残念です。)

エファテ島北部には小さな集落が点々としていますが、日頃は行き交う車も少ないような土地に住む人達にとって、年に一度の駅伝の通過はお祭りのようなもので、沿道に趣向をこらしたアーチをしつらえ、賑やかなローカルバンドの演奏で歓迎してくれます。しかし集落を出れば一本の乾いた道が続くだけで、「孤独なランナー」にとっては「自己との闘い」があるのみ、「長距離走は人生である」という格言も体験できそうなレースです。 (ピッタリ伴走は禁止)。

小生が便乗した補給車の出発点、第2中継所にて。 参加31チーム中約半数が白人チーム。中にはメタメタなチームもあるが、彼等は長距離走が好きらしい
沿道の歓迎風景。 山道を力強く走る。
降雨時には4WDでなければ通過できないような急坂が1km続く。 女性チームも結構多い。
誰も見ていないと、つい歩きたくなる区間後半。 歓迎アーチ。走路の上からシャワーが降る仕掛けがある。
ローカルバンドが走者を見送る。 狭い橋梁の上で村中総出の歓迎。
近くのカスタムビレッジ(観光村)から応援に来たプロの歌舞団員。
14kmの山道は都会出の女性隊員には少々厳しい。 裸足のランナーも多い。この地点は舗装道路だが、彼等は珊瑚の砕石の上でも平然と走る。
ゴール前の国会議事堂前広場。走り終わった走者はここまでバスで移動、最後の数百メートルを最終走者と走る。 JICAチームと応援団