ポートビラには年間を通じてオーストラリアやニュージーランドから5万人の観光客が訪れる。半分はクルーズ船の客で、彼等は上陸しても忙しくショッピングをするだけである。残り半分が数日間滞在する客で、これらの客をあて込んだ日帰りツアーが種々用意されている。そのひとつにCongoola号という機帆船でモソ島に渡り、専用のビーチでのんびりと1日を過ごすというのがある。5月に家族が来島した機会にこのツアーに乗ってみた。

下の最初の3枚は別の機会に国内線の機内から撮ったもので、空から見るとこんな場所である。このツアーでは、先ずポートビラからエファテ島西岸の船着場まで小型バスで一時間ほど揺られ、待っていたCongoola号に乗り込む。オーストラリア製のこの船は1954年に進水した木造の外洋ヨットで、2本マストに4枚帆で全長が23mある。定員は50名だが、この日の客は我々一家の他にニュージーランドからの女性客が2人だけであった。

先ず対岸の海亀養殖場に案内される。バヌアツ水産省の施設で、絶滅に瀕した海亀の玉子を孵化させ、半人前(?)に育つと海に帰す。好物のくらげと間違えて食べるポリ袋が最大の敵だという。(今やポリ袋は世界中の海を漂っているのだそうだ)。船は岬を回ってモソ島西岸のビーチに向かう。10頭以上のイルカが船と前後して跳びはねる。彼等は船をおもちゃにして遊んでいるのだそうだ。やがて船は沖合いに泊まり、ボートでビーチに上陸する。本当に誰もいない海である。真っ白な砂浜に寝そべるのもよし、泉のように透明で心地よく温かい海につかるのもよし。スノーケルをつけて30mも行けば活きた珊瑚礁に色とりどりの熱帯魚が泳ぎ、驚くほど大きな魚体が目の前を横切る。昼食にはバヌアツビーフのバーベキューサンドイッチが供されるが、日本人には多少咬みごたえがあるかもしれない。

午後3時頃にビーチを引き上げ、Congoola号はエンジンを切って白い帆を上げる。波静かな湾内の帆走を1時間ほど楽しみ、4時過ぎに上陸して帰途につく。憂き世のうさを忘れてさせてくれる1日のツアー料金は、一切込みで7,400円也。

ポートビラでは市街地の湾内も透明 (写真右に中心街が続く)。  モソ島上空。Congoola専用ビーチは下の岬の左付け根。遠くに霞むのはングナ島。
専用ビーチの周辺。海中には珊瑚礁が見える。 Congoola号。
モソ島の海亀養殖場。これは孵化後4週間くらいの子亀。  船のまわりにイルカが集まって10分ほど一緒に遊んでくれた。 
「帽子島」のニックネームがあるエレトカ島。この辺はダイビングのメッカ Congoola専用ビーチに到着。
スノーケルを付けて50mほど沖に出ると、活きた珊瑚礁に遊ぶ熱帯魚を見ることができる。 午後になって夕立がやってきた。もう帰る時間だ。