ボランテイアにも出張がある。小さな81の島からなるバヌアツ国内出張の足は小型機だが、首都ポートビラと第二の都市ルーガンビルの間が1日二便、小さな島へは1週間に1~2便しか飛ばない。人口20万の国が小型機とはいえ6機も保有し、白人操縦士を雇って運行しているのだから、飛行時間当たり料金は日本の正規料金並みに高い。島々を飛び歩く便では2、3時間遅れが頻発し、雨が降れば芝生の滑走路がぬかって欠航せざるをえない。

ルーガンビルはさすがに第二の都市で、ホテルがいくつかある。現地人は1泊1500円の宿舎に泊まるが、小生は特別待遇で2800円の「ビジネスホテル」を使わせてくれる。中国人経営の雑貨店の二階だが、お湯が出るし寝具もそれなりに清潔である。夕食は中華レストランでOKだが、朝食・昼食が出来るところが見つからず、公設市場のバナナやフランスパンで済ましている。ちなみに、夜の楽しみの場は皆無だから極めて健康的である。

9月の出張では帰りの飛行機が3時間遅れたので、タクシーを寄り道させて少し観光をした(もちろん自費だが)。ルーガンビルのあるサント島は、第二次大戦時に米軍が日本軍南下阻止のために大戦陣を張った島で、ガダルカナルへの補給基地でもあった。今もその残骸が随所に見られるし、自軍の機雷に触れた輸送船や、力尽きて不時着した爆撃機、終戦時に投棄した武器類などが海中に沈んで漁礁となり、絶好のダイビングスポットとして観光資源化しているのを見ると、戦中派日本人としては多少複雑な気分になる。

ビジネスホテル自慢のバスだが、解剖学教室を連想して使う気が起きない。 バヌアツ最大の輸出産業、乾燥ヤシの実の相場表示板。
ルーガンビルの公設市場。バヌアツ産の山芋は大きい。
終戦時に米軍が兵器類を投棄した「百万ドル岬」(Million Dollar Point)。 海中にはもっといろいろなものが沈んでいるという。
帰りの便はアンバエ島経由の各駅停車。離島便には19人乗りのカナダ製ツインオッター機が使われ、芝生の滑走路を離着陸する。 アンバエ島は知床半島に似た火山地形。
アンバエでは島の東西二ヵ所で降りた。

貨物輸送も重要な役割。日没後は離着陸が出来ないので大急ぎで荷扱い。