バヌアツの独立記念日は7月30日である。昨年は独立25周年の特別行事があったのだが、島一周の駅伝と重なり、写真係の小生はランナーを追った。今年は式典を見逃さないように、現地人の同僚達にどこでどんな行事があるのか訊ねたが、あまり関心がないらしく、「多分、独立広場で何かやるんじゃないの」、という程度の情報しか得られなかった。

今年は前日に駅伝があり、小生は早朝から一日中トラックの荷台で揺られた上、夜は打上げパーテイがあったりして少々グロッキー気味だったが、朝9時15分前に広場に行ってみたら、機動隊、音楽隊とボーイスカウト、ガールスカウトが整列して、首相と大統領の到着を待っているところだった。9時に首相夫妻が到着、大統領夫妻は9時10分に到着して、直ちに式典が始まった。このような国の公式行事でも、バヌアツ時間(15分遅れ)で始まるものらしい。

行事は機動隊(バヌアツには常備軍がなく、警察機動隊が国防を担当)と同音楽隊のパレードが中心で、1時間以上にわたって分列行進と音楽隊の演奏が延々と続いた。今はバヌアツは最も爽やかな季節ではあるが、重装備の上に緊張が重なったのか、機動隊員の一人が倒れたのはご愛嬌だったが、音楽隊の方は、コミカルな余興も含め、精一杯のサービスぶりを見せてくれた。

バヌアツ共和国の元首である大統領は、国民投票ではなく、国会と大酋長会議で選出される。現大統領のマタスケレケレ氏は、四半世紀前の独立の志士の一人で、留学先から密かに帰国、秘密放送を通じて独立運動を鼓舞した人として知られている。この放送はオーストラリアのブリスベーンからの送信を偽装したが、実際にはバヌアツ沿岸を密かに航行する船上からだったという。長身で立派な体格の大統領は知的な雰囲気を漂わせているが、今も情熱家らしく、歴史的な行事の度に、目頭をぬぐう写真を新聞に撮られている。

快晴に恵まれ、独立広場から輝く海も見えた。 大統領の閲兵。
音楽隊の腕は2年前よりもだいぶ上がったが、大太鼓が破れかけているのが気の毒。 貴賓席前でコミカルな演奏に併せて隊員が踊る。
軍旗を先頭に分列行進。 祝砲は3発。
ニューカレドニアから飛来したフランス空挺部隊が降下のデモンストレーション。 二千人ほどの見物人はピクニック気分。
ローカル食も並べたフードスタンド。 子供たちの特等席はどこの国でも同じ。