日本とバヌアツのルートには、オーストラリア、ニューカレドニア、フィジー経由がある。距離的にはフィジー経由が最も近いが、連絡便数が少なく利用が難しい。10月の最終帰国時はスケジュールが合ったので、最後の機会と思ってフィジーに立ち寄ることにした。

フィジーの人口は90万人だが、南太平洋諸国の中では大きな方で、経済規模をあらわすGDP(国内総生産)も、バヌアツの10倍ある。周辺諸国のセンターのような役割を持っており、バヌアツの役人なども、何かと口実を作ってフィジーに出張したがる。お金の回り方が早い分だけ新興国的な怪しさ、猥雑さが漂い、犯罪も非常に多く、町なかの家々は泥棒除けの鉄格子だらけとなる。日本大使館員の話では、在留日本人の殆どが犯罪の被害経験があるという。

小生が立ち寄ったのは、ナンデイ空港に近いラウトカの町で、フィジーの主産業、製糖業の中心地である。滞在したホテルの庭を、サトウキビを運ぶトロッコ列車が頻繁に往復し、夜中にも何度も目を覚まさせられた。工場の技術者や労働者の殆どは人口の45%を占めるインド系移民の子孫で、原住民のメラネシア人は農業や雑役に従事している。両者間の軋轢は容易に収まらず、数年おきに繰り返されるクーデター騒ぎも、人種間の抗争の表れである。

小生はたった1日しか滞在しなかったが、あいにく天気も悪く、フィジーにはあまり良い印象を持てないまま過ぎた。もっとも、外国人旅行者が利用するリゾートは隔離された別天地の環境になっており、そういう場所で休暇を過ごす人たちは、全く別の印象を持つかもしれない。

ホテルの庭をサトウキビを工場に運ぶ軽便鉄道が走る。
ラウトカ市の中心部にもトロッコ列車が往来する。
ラウトカ市の中心部。観光地ではないので、雑多な商店がならぶだけ。
植物園にて。
バスターミナル。バスは風通しが良い構造だが、雨が降ると困りそうだ。
マーケットの様子。現地人向けの店はバヌアツの雰囲気に近い。
砂糖工場は幾つかあるだが、これは中規模のもの。