バヌアツを観光で訪れるなら、タンナ島は逃すべからざるスポットである。目玉は、火山ヤスール火山と、カスタム・ビレッジ(原始村)で、当「バヌアツ通信」でも、次の5つの記事でご紹介している。今回の民話に出てくるヤスールの様子や、村人たちの風習も、記事の写真でご理解いただけると思うので、ぜひご一読いただきたい。

タンナ島の観光について、補足しておきたい。タンナ島へは、首都ポートビラから、バヌアツ航空が1日に1~2便のプロペラ機を飛ばしている。予約が取れても、遅延や欠航が多いので、前後の日程に余裕がないと、帰国できなくなることがある。宿泊施設や交通手段も限られるので、現地の旅行会社に一括アレンジしてもらうのが無難だろう。

1時間のフライトでタンナ島に着くと、リゾートの四駆トラックが出迎えてくれる。チェックインを済ませ、午後3時頃にヤスール火山に向けて出発する。四駆車の威力を実感するドライブが2時間ほど続き、ヤスールの8合目から、火山灰の登山道を火口縁まで歩く。日没まで火山活動を見学し、リゾートに戻ってから遅い夕食となる。

原始集落(カスタム・ビレッジ)を見学する場合、訪れる集落はリゾートの案内に任せる。見学は集落にとって貴重な現金収入の機会だが、出稼ぎ者が増え、伝統ダンスの踊り手の確保が難しくなったと聞く。ここでも、貨幣経済が伝統文化を壊すプロセスが進行しているが、簡単な解決方法は無さそうだ。


大昔のことだ。コ・アマンと言う名の男がいた。ある朝、弓と矢を持って狩に出かけた。プヌン・ハという、羽根が緑色で腹の赤い鳩が、ネセスの木の枝にとまっていた。コ・アマンは矢を射たが、外れた。もう一度やって、また外れた。

次の朝、同じ場所に行くと、あの鳥が飛んできて、つがえた矢の先にとまった。そして人間の言葉をしゃべった。「矢を射ないで。私の言うとおりの場所に連れていってくれたら、面白いものを見せてあげるから」

鳥の指図のままに行くと、泉があった。鳥はコ・アマンに、今日は家に帰って翌朝もう一度この場所に来るように、と言った。コ・アマンは、母親には何も言わずに寝てしまった。翌朝、泉に行ってみた。緑の鳩を探していると、きれいな娘が近づいてきて言った。

「もう探さなくてもいい。私があの鳥なのよ。さあ、あなたの家に連れて行って」

コ・アマンの母親は、息子が女と一緒に来たので大喜びだった。母親は娘に何か食べたいか聞いたが、娘はいらないと言った。その頃はまだ畑がなく、人々はノウィタンやノポテムなどの野生の根菜や、ネケリァンなどの果物を採って食べていた。娘は夕方になっても何も食べたがらず、夜になると、プヌン・ハの姿になって飛び去った。

朝になって娘は戻ってきた。コ・アマンと母親は、家の前に根菜が置いてあるのを見つけた。食べてみると、とても美味しかった。それは娘が持ってきたもので、タウイロンと呼ばれるタロイモだった。それからタロイモが栽培されるようになり、ノポテムやネケリァンなどの野生の食べ物は、忘れ去られてしまった。

娘は夜になると鳥になって飛び去り、朝になると新しい作物を持ってきた。こうしてサトウキビやいろいろなバナナがもたらされたのだ。やがて娘に男の子が生まれ、コ・アマンの母親が子育てを手伝った。

パンの実が熟して、どっさりと収穫した頃だった。祖母は孫の泣き声を聞いた。孫は、胸が痛いと知らせようとしたのだが、祖母は、あやす代わりに叱りつけた。ちょうどそこへ母親が帰って来た。そして、祖母の叱り声を聞きつけてカッとなった。母親はパンの実を持ち出して、全部海のかなたに投げ捨ててしまった。

祖母は女を見たが、女はまだ機嫌が悪かった。息子を抱いて、ヤムイモを自分のバスケットに入れ、息子が叱られたので家を出ると言った。女は祖母にその場を動かぬように言い、自分はもう戻って来ないので、コ・アマンとの離縁を認めてくれと言った。女は海の方へ歩み去った。家に帰ったコ・アマンは、すぐさま女のあとを追った。ちょうど女と息子が波に呑み込まれるところだった。

悲しみにうちひしがれたコ・アマンは、矢を自分の心臓に向けて射た。彼はたちまち岩に変わった。その岩は西岸のイパクにあって、今もコ・アマンと呼ばれている。岩の半分を覆っている蔦が、彼の腰蓑のように見える。その岩には野生のヤムイモが生える。それはあの鳥女、プヌン・ハが投げ捨てたヤムイモの子孫なのだ。


その昔、タンナの長老たちも思い出せないほど昔だが、ニュー・ヘブリデス諸島の南部のタンナ島には、たくさんの人が住んでいた。タンナの先にもう一つ島があった。その島は小さくて人口も少なく、山ばかりで、川もたくさんあった。川は雨季に氾濫し、乾季には干上がった。この島には、我々が白草と呼んでいる、背の高い草が生えている場所もあったが、島の大部分は深い森で、男たちが隠れていた。その島はアナイチョムと呼ばれていた。

アナイチョムの森に、悪い男が隠れ住んでいた。とてつもなく背が高く、もじゃもじゃの長い髪で、髭を伸ばし、鋭い目つきで、耳は大きくて毛が密生していて、体も毛むくじゃらの上に膿だらけで、遠くからは、枯れた葦の葉のように見えた。他の島から来た者は、この怪物が葉で覆われていると思ったが、そうではない。そう見えたのは毛だったのだ。彼は大木を素手でなぎ倒した。動くと地面が揺れ動いた。そのアナイチョムの怪物は鬼だった。名はセムセム。そいつがタンナの人間を、一人残らず食いつくした。男も女も、年寄りも若い者も。子供まで食った。実は子供が大好物だったのだ。

鬼のセムセムが食い残した人間が、一人だけ残っていた。女だ。そう、若い女がたった一人。名前はナレヤ。可愛い女の子だったが、セムセムが人を食う恐ろしい現場を目撃したのだ。目の前で、父親、母親、祖父母、兄弟、姉妹、全部食われた。村で生き残ったのは少女だけだった。少女は遠くへ逃げることにした。岩の洞穴にじっと隠れ、鬼がアナイチョムに帰るまで待った。地面の揺れが止まってから洞穴を出て、タンナ島には自分一人しか残っていないことを知った。

ある日、ナレヤは海岸のそばの岩の洞穴で寝ていた。その時、不思議なことが起きた。寝ているすぐそばに、この辺ではノルと呼ばれている蔦が伸びていた。蔦は少女に近付き、その体の上を這った。ナレヤは何かおかしなことが起きたのを感じた。蔦が少女の両足の付け根に入り込んだのだ。しばらくして、ナレヤは自分の腹が大きくなるのを感じた。そんな時に女がなるように、ナレヤにもつわりが起きた。それで、ナレヤは自分が身ごもったことを知った。

そうだ、ナレヤは海のそばに生えた蔦に孕まされたのだ。9ヶ月が経ち、ナレヤは双子を産んだ。カセアサウとカニアプニン。二人は玉のような男の子だった。タンナの男が二人生まれたのだ。母親になったナレヤは、ある種の恐れを抱きながら二人の成長を見守った。

「お前たちは本当に可愛い。だけど他に誰もいない。セムセムがお前たちのことを知ったらどうなるのだろう?お前たちの命はどうなるのだろう?」

子供たちはすくすくと大きくなった。ある日、ナレヤは、子供たちが大人の男の仲間入りできるようになったと思った。竹を削ってナイフを作り、男の子たちに割礼を施した。二人は一人前の男になったので、母親は二人の将来を考え、どう教育しようかと思った。

「お前たち、ここに来なさい。弓の使いかたを教えてあげよう。ヤシの実の繊維で作った弦を、こうやって引っ張るのよ。まん中に矢をつがえ、左手で弓をしっかりと持って、右手で弦を矢と一緒に自分の方へ引っ張る。そうして矢を放つ。弦が跳ね返るから指に気をつけるのよ。さあ、カセアサウ、おまえがやってごらん。」

カセアサウが最初の矢を放った。母親は大変に喜んで、もう一人に弓を与えて言った。「さあ、お前の番だよ、カニアプニン。だめ、弦をそんなに強く引いてはいけない。そうそう。そうすれば矢が、、」

矢は草むらに落ちた。

「さあ、今度は槍の使い方を教えよう。こうやって槍の真ん中を持って、腕を後ろに引いて、左足の動きを使って前に投げる」

双子のうちの一人は的に当てたが、もう一人は外した。教師役の母親が言った。「カニアプニン、お前はうまく投げた。カセアサウ、お前はもっと練習しなさい!」

毎日同じ時間に、ナレヤは子供たちを武人にするための訓練をした。カニアプニンは天才のように上達した。母親は子供たちが強い武人になれると思った。そしてその日が来た。母親は、二人があのことを実行できるようになったと考え、人食い鬼セムセムのことを話した。

「お前たちは大きくなった。割礼も済ませだ。弓矢と槍の使い方もおぼえた。お前たちに話すことがある。昔はこの島にたくさんの人が住んでいた。とても幸せに暮らしていたけれど、ある日、アナイチョムからセムセムという鬼が来た。そいつは人を全部食ってしまい、タンナでは私だけが生き残った。私たちの祖先は皆食われたのよ。だから復讐しなくてはいけない。お前たち二人が頼りだよ」

島の北の家を出発して、海岸伝いにクウォテセンの街道を進んだ。母親は、イカメルに向かう道筋に、一定の距離で投げ槍を突き立てて行った。イカメルに着くと、二人は大きな岩の陰に隠れた。母親は黒い火山灰に最後の2本の槍を突き立て、ネセイとネピナの道の終わりを印した。そこは、ナンレアルメネのナカマルがあった場所だ。

ナレヤはロウプルマトの先の丘に行って身を隠した。そこで、硬い木と柔らかい木をこすりあわせて火を熾し、二人のためにラプラプを作った。

アナイチョムにいた鬼のセムセムは、タンナ島から煙が上がるのを見た。「あれっ、タンナから煙が上がったぞ! タンナの人間は俺が全部食い尽くした筈だが。いったいどうなっているんだ?」

怒ったセムセムは、荒々しい不協和音を立てて大股で海を渡り、タンナ島に行った。岩の陰に隠れていた兄弟は、セムセムの吐く息を頭上に感じた。カニアプニンは死ぬほど怖くなり、逃げ出したくなった。カセアサウが彼の腕をつかんで言った。「怖がることはない。じっとして、何が起きるのかを見るのだ」

鬼の歩みで島が揺れた。カニアプニンは槍を投げたが、当たらなかった。カセアサウが投げると、セムセムの胴体に突き刺さった。傷ついた鬼は、子供たちの方に向かって来た。

丘の上から子供たちの攻撃を助けていた母親のナレヤは、子供たちの方へ走りながら歌を歌った。

  ナレクミル ナレクミル
  ケムヤコ? ケムヤコ?
  レンド! レンド!

人食い鬼を退治しようとする子供たちを、歌で勇気づけようとしたのだ。セムセムには槍が刺さっていたが、まだ直立していた。子供たちに向かってこう言った。「逃げても無駄だぞ。尻の穴から葦がぶら下がっているぞ。俺はお前たちを食ってやるぞ。」

母親は葦の葉を持ち、セムセムに向かってタパのベルトを振りながら、歌い続けた。

  ナレクミル ナレクミル
  ケムヤコ? ケムヤコ?
  レンド! レンド!

鬼は更に近づいて言った。「逃げても無駄だぞ。尻の穴が葦で切れてしまうぞ。俺は食ってやるぞ。食ってやるぞ!」

二人の少年は、母親が道に刺しておいた槍を投げ続けた。鬼の体はあちこち傷ついた。鬼はよろめき、ラムウィムで肝臓を吐きだした。セムセムの肝臓は岩になって今もそこにある。

セムセムは、カセアサウとカニアプニンが突き刺した槍を一本ずつ抜きながら、二人に近寄って行った。カセアサウの槍は最後の1本になった。それをしっかりと握ったが、いつものように怖気づいて、弟の方を向いて言った。「どうする、カニアプニン? これで槍はおしまいだぞ!」

カニアプニンは即座に答えた。「兄さん、あいつの耳を狙うんだ。耳だよ!」

カセアサウは弟が言ったとおりにした。彼はセムセムの耳を狙った。鬼はすぐそばまで来ていた。カセアサウが槍を投げると、耳に命中した。セムセムは地に倒れた。彼の体重でタンナ島が揺れた。

自分たちの勝利が信じられず、兄弟はその場から走って逃げた。少しして、二人は赤い鳥のブウェレンブウェレンを放ち、怪物が本当に死んだのか、見に行かせた。ブウェレンブウェレンは言われたとおりにした。腕をつついたが、セムセムは動かなかった。もう一度つついたが、やはり動かなかった。それを確かめると、兄弟のところに戻って言った。「本当に死んでいましたよ!」

それでも、カセアサウとカニアプニンはまだ心配だった。それで、カウィア・メタ・メタという小さな鳥を飛ばした。その小鳥は、開いていた鬼の口の中に入って、反対側から出て来た。くちばしに凝固した血塊にくわえていた。それを見て兄弟はようやく安心した。

その場にやって来たナレヤも喜び、自分の子供を誇らしく思った。ナレヤが鬼の体を竹のナイフで切り開くと、鬼がに食ったものが全部出てきた。大きな動物、小さな生き物、男、女、タンナの人が全部出てきたのだ。

カセアサウは勝ち誇り、男たちにナカマルを与えた。それは彼の命名なのだ。それからヤシの葉を手に取り、それを地面に強くたたきつけると、地面が揺れ始めた。

こうして、再び島が命を取り戻した。全てが生き返ったのだ、鳥も、虫も、動物も、そして人間も!


ヤスールは長いこと南の海を放浪していたが、どこかに気にいった土地を見つけて落ち着こうと考え始めていた。深い海の底をあちこち探したが、どこにも理想的なところが見つからず、何日も無駄にしてしまった。

ある素晴らしい朝、燃えるように望んでいたことが、遂にかなった。彼はタンナ島のロアンパケル岬の海岸にやって来た。陸に上がると、島の人たちに疑われないように人間の姿になった。島の北部をあちこち歩き、7つの村を通り過ぎた。それぞれの村で、休んで一服つけても良いかと尋ねたが、どの村でも歓迎されなかった。

ヤスールは歩き続け、その夜、ナムタインの村に着いた。海辺に近い村だった。腰を据えるのに具合が良いと思い、火山の姿になった。それはたやすく出来ることだった。そこで5日5晩留まったが、どうも気に入らなくなってきた。というのも、夜も昼も、海が彼の足をくすぐったからだ。それで、どこか他の場所を探すことにした。

午後になって、彼はまた「火山男」の姿になり、北部のナムタインの村を出て、南東の方角に向かった。ロエアシア、ウェシシ、ホワイトサンドの村々を通り過ぎながら、休むのに適した場所を探したのだが、どこもダメだった。こうして、真夜中にシウィにたどり着いた。

小さな小屋から煙が上がっているのが見えた。小屋の前に年寄りの女が二人いた。二人は囲炉裏に入れたばかりの二つのラプラプをじっと見ていた。ラプラプを葉っぱでしっかりと包み、赤く焼いた石の上に置いて、その上から土をかけて、蒸し焼きにしていたのだ。二つのラプラプは、小さい火山が二つ並んでいるように見えた。

旅を続けるにしても、ここでちょっと休んで、一服つけたいと思った。こんな場合は、できるだけ丁寧に、腰を低くして頼むに限る。ヤスールは二人の老女に、煙草の火をいただきたいのだが、と言った。老女たちは、遠路の旅人を喜んで歓待したいと思い、かいがいしく彼の世話をした。彼に一服つけてもらうために、自分たちの小屋まで使わせたのだ。

ヤスールは、ラプラプを作っていた囲炉裏のそばに座って、すっかり気分がよくなった。囲炉裏の暖かさが心底から気持ち良かった。しばらくして、彼が本性を表した。地面が激しく揺れ、その音は島中で聞こえるほどだった。

二人の老女は何が何だかわからず、小屋の戸口へ走って行った。ちょうどヤスールが地面にめり込んで、姿を消すところだった。

地面がますます激しく揺れ、老女たちの立っている地面に大きな割れ目が出来た。すさまじい火柱が立ち、燃えさかる溶岩が二人の老女と小屋を飲み込んでしまった。

こうして、タンナ島のシウィにヤスール火山が出来たのだ。タンナ島を訪ねる機会があったら、島の北部のナムタインの村に行けば、そこからヤスールの円錐形が見える筈だ。シウィのヤスール火山の麓に、溶岩で覆われた二つのラプラプがある。それは二つの小さな火山のように見える筈だ。


その頃、タンナ島には先祖の霊がウロウロしていた。霊の中には、この世で生きている者たちの仲間に入りたいと思った者もいたが、霊はあの世の者だから、そうは出来なかった。だから霊界の者たちは、生きている者のマネをすることで満足するしかなかった。

ロネプランの村で、二人の男が髪の手入れに忙しかった。タンナでは、髪を結うのは芸のようなもので、男たちはそのために他のことを犠牲にする。身を隠して何ヶ月も女に近づけないこともある。大きな祭りが近くなって、二人の男は、自分たちをハンサムに見せようと思ったのだ。皆の前に出る前に、髪を洗おうとした。二人は海岸に行って、先ずヤシの油を髪に擦り込んだ。そうしてから、ロワネムラパンの浜に行って泳いだ。

水から出た時、悪魔が泳ぐしたくをしているのを見た。そいつは、腹から腸を引っ張り出していた。男たちは身を隠し、その奇妙な光景を眺めた。悪魔はとてつもなく長い腸を取り出して、それを砂に埋めた。そうしてから、腹の中の胆汁を洗い流そうとして、泳ぎ出した。二人は、悪魔の見ていないうちに腸を掘り出すと、それを木切れに巻き付けて担ぎ、必死に走って村に帰った。

悪魔は水から出たが、内臓が見つからなかった。あちこち探したが、無かった。内臓が失せたのだ。彼は北風の匂いをかいだが、失せた方角を示す手がかりはなかった。南の風をかいでみたが、ダメだった。東風をかいで、それが彼の内臓が行った方角だと分かった。

匂いが来る方角を追うことにした。海岸を出て、歌を歌い始めた。すると、森の向こうから、彼の内臓が返事をした。注意力を集中して内臓の歌に聞き耳をたて、二人の男がそれを盗み出したことを知った。悪魔は腹を立てた。彼は歩きながら同じ歌を何度も歌った。その度に内臓が返事をした。

こうして内臓に導かれた悪魔は、イブンメットの村に着いた。そこで悪魔はまた歌った。内臓はローンラペンの近くから答えた。悪魔はローンラペンのナカマルへ行き着き、そこで二人の男を見つけた。悪魔は男に飛びかかったが、すかさず、二人の男は内臓を火の中に投げ入れた。悪魔は即死した。その魂はこの世の地獄への道をたどり、ヤスール火山の中へ行った。それは今でも燃え続けている。悪魔の死体は、ローンラペンのネワク・ネワク岩になったのだ。