百名山文庫本

「日本百名山」は、作家の深田久弥が戦前から雑誌に連載した山の随筆を、一冊にまとめたものである。地味な内容で、1964年に出版された当時は注目されなかったが、80年代に中高年登山ブームが起き、山好きの皇太子の愛読書と噂され、深田の選んだ百名山が中高年登山のブランドとして定着した。

百座の選定にあたり、深田は「山の品格・歴史・個性の3点を考慮した」と書いている。残り時間の少なくなった中高年にとって、百という目標数は適切である。限られた山行で日本の山の良さを感得できるという点で、優れたガイドラインを残してくれたと思う。

深田がこれらの山に登ったのは戦前から戦後間もない頃で、車道はおろか登山道もなく、猟師を雇ってケモノ道をたどり、藪をこぎ、沢をよじ登った。深田の本からは、そんな山登りの醍醐味が伝わってくる。

「列島改造」で林道が拓かれケーブルも架けられた。百名山登山のガイドブックには、交通機関を駆使して最も容易に登頂できるルートが示され、殆どの登山者はそのとおりに歩く。そんなお手軽な登山を批判する人もいるが、我々のように中高年になってから山歩きを始めた非力な中高年ハイカーでも、日本を代表する山の頂に立てるようになったのは、有難いことだと思う。

我々(小生と連れ合い)は若い頃は登山に縁が薄く、特に30代から50代半ばまでハイキングに出かけることさえ無かったが、定年間際になって、連れ合いに尻を叩かれるかたちで百名山を始めた。当初は中高年の登山ツアーに参加し、ついて行くのがシンドイことも多かったが、次第に様子が分かったので、最終段階では自分たちのペースで登りながら、写真やスケッチを楽しむことにした。2009年8月24日、奥穂高岳で百名山を完登することが出来た。

言わずもがなの言いわけをしておく。百名山の登山と山岳写真は両立しない。登頂が目的の登山では、天候にかかわらず、最短距離・時間のルートを懸命に歩く。荷物を少しでも軽くしたいので、三脚も交換レンズも持たない。休憩ついでにチョコッと撮るのが精一杯で、場所を選んで微妙なシャッターチャンスを待つ余裕などない。従って、ここに掲載する写真はヘボばかりである。

2022/7/27追記:1996年に始めた我々の日本百名山登山は、第二次百名山ブームの周回遅れで、TVの登山番組も減っていた。2014年になって百名山に再びブームをもたらしたのは、田中陽希の「グレートトラバース 日本百名山ひと筆書き」で、交通機関を一切使わず、海峡もカヤックで渡るという徹底ぶりが話題を呼んだ。田中のその後の2百名山、3百名山踏破もNHKが完全フォローし、今も「百名山」と銘打つTV番組が毎日のように流れている。山好きには嬉しいことだが、深田の百名山、日本山岳会認定の200名山・300名山に含まれない山の番組にまで、安直に「百名山」を冠するのには違和感を覚える。

        
地域 掲載(初出・増補) 「百名山」
北海道篇 2009/6/5
22/7/28増補
利尻岳、羅臼岳、斜里岳、雌阿寒岳、旭岳、トムラウシ、十勝岳、幌尻岳、
後方羊蹄山
東北篇 2009/7/1
22/7/28増補
岩木山、八甲田、八幡平、岩手山、早池峰、鳥海山、月山、朝日岳、飯豊山、
蔵王、磐梯山、吾妻山、安達太良山、那須山
北関東・上信越篇 2009/8/1
22/8/28増補
会津駒ケ岳、燧ケ岳、至仏山、奥白根山、皇海山、男体山、武尊山、谷川岳、
赤城山、苗場山、巻機山、越後駒ケ岳、平ヶ岳、雨飾山、火打山、妙高山、
高妻山、四阿山、草津白根山、浅間山
関東甲信篇 2009/9/1
22/8/27増補
美ヶ原、霧ヶ峰、蓼科山、八ヶ岳、富士山、金峰山、瑞牆山、大菩薩嶺、
甲武信岳、雲取山、両神山、丹沢山、筑波山、天城山
富士山 2010/1/1
2022/9/27増補
百名山番外篇。6度の富士登山再録、富士山を撮る、百名山から見た富士、○○富士の百名山など
北アルプス‐1 2009/11/1
2022/9/27増補
2008年以前に登った北アルプスの山: 剣岳、立山、薬師岳、笠ヶ岳、焼岳、乗鞍岳、常念岳、五竜岳、槍ヶ岳
北アルプス‐2 2009/10/1
2022/9/27増補
百名山最終の2009年登山レポート
白馬岳、鹿島槍ヶ岳、黒部五郎岳、鷲羽岳、水晶岳、奥穂高岳
中央・南アルプス 2009/12/1
22/7/28増補
木曽駒ケ岳、空木岳、甲斐駒ケ岳、千丈岳、鳳凰三山(薬師岳)、北岳、間ノ岳、塩見岳、悪沢岳、赤石岳、聖岳、光岳、御嶽、恵那山
西日本篇 2010/2/1
22/8/27増補
白山、伊吹山、大峰山、大台ケ原、荒島岳、大山、石鎚山、剣山、九重山、
祖母山、阿蘇山、霧島山、開聞岳、宮之浦岳

百名山完登後の登山レポート(国内)
地域 掲載した日 内容
へろへろ山歩き 筑波山 2022/9/27 筑波山の標高500mでへろへろに… 老化による身体機能の低下について
もうちょっと山歩き 乗鞍岳 2022/8/27 3千m峰らくちん登山、山岳道路の経緯、B-29爆撃機、安全保障環境など
白馬山麓ちょこっと山歩き 2022/7/28 骨折修復を終えて高山植物探訪のちょこっと山歩き、
2020年山歩きレポート 2021/1/1 高尾山、宝篋山、美ヶ原、立山大汝、壱岐・対馬、碓氷峠、石割山など
2019年山歩きレポート 2020/18/1 喜寿登山2300mトラウマ、尾瀬、日光奥白根山、鴈ヶ腹擦山など
北穂高岳 喜寿登山 2019/10/1 喜寿の歳、登り残した北穂高岳に登る
2019 北海道
センチメンタル山歩き
2019/8/1 半世紀前の山歩きをたどり、古い記憶のあやふやさを知る。 雌阿寒岳、赤岳、黒岳、北海岳。
2018年山歩きレポート 2019/1/1 高尾山、戸隠、蔵王、筑波山、裏磐梯、磐梯山、鳴虫山
2017年山歩きレポート 2018/1/1 高尾山、筑波山、大岳山、吾国山、烏場山、富士山(御殿場口)
2016年山歩きレポート 2017/1/1 高尾山、新緑・紅葉の乗鞍高原、宝剣岳、富士山
2015年山歩きレポート 2016/1/1 高尾山、冬の裏磐梯、高柄山、高川山、八方池、東天狗岳、櫛型山
2014年山歩きレポート 2014/12/1 活火山について、厳寒の八ヶ岳、武甲山、立山、唐松岳、富士山、箱根明神ヶ岳、奥大日岳
2013年山歩きレポート 2013/11/1 北八ヶ岳、北岳(キタダケソウ)、荒川三山、木曽御嶽、霞沢岳
2012年山歩きレポート 2012/12/1 後立山冬景色、浅間山、裏銀座・雲の平、志賀高原など
2011年 登山レポート 2011/11/1 古稀で登った山、登りそこねた山   白神山地、燧ケ岳、筑波山、常念岳・蝶ヶ岳
2010年 リベンジ登山 2010/9/1 ひどい目にあった山のリベンジ登山:久住山、阿蘇山、
高千穂峰、西穂高独標、至仏山、槍ヶ岳
残雪の立山 2009/6/5 百名山番外篇。残雪の室堂周辺